2014年9月28日千葉・舞浜アンフィシアターにて行われた3rd LIVE、
1stはライブハウス、2ndはホールと着実にステップアップしている中で迎えた3回目の開催です。
今作について、大きく3つにわけてレビューします。
【1:総合プロデュース】
今まではスタッフが道筋を作り、声優・喜多村英梨が舞台に立って歌うという、
いわゆる「よくある声優ライブ」でしたが、今回はキタエリ自身がセットリスト・衣装・映像など
全て監修しており、スタッフを引っ張っているのが最も違う点です。
会場が舞浜アンフィシアターとディズニーリゾート内にある円形シアターで
シルク・ドゥ・ソレイユが利用している空間のある多目的ホールのため
初のスクリーンを導入をしており、流す映像の監修をキタエリがしています。
衣装のゴシック路線はさほど変わりませんが、着物や帽子などを使ったり、
マイクスタンドにバラをまとわせてみたりと、細かくこだわっているのがわかります。
キタエリが「歌い方や動作といった仕草も考えた」というように
声優ではなく、アーティストとして最大限に貫いた締まったライブです。
足元のモニタースピーカーに設置したカメラへキタエリが覗きこんだり、
天井からのカメラで真上から撮影したりと
アングルにも工夫が施されています。
【2:アルテミス】
楽器隊が一新されているのも大きな魅力です。
今までは作曲者が参加したりとクオリティは高いのですが、
映像化してもキタエリの声を目立たせるために平坦なMixになってしまい、
ごりごりの音楽性とは裏腹にバンドの一体感が薄いのが残念でした。
今回は作曲者が音楽面での総合監修に周り、沿ったメンバーを選んで
新しいキタエリバンド「アルテミス」を結成、メンバーの人数は最少人数の3人のため
これまでのツインギターでなく、またピアノもいないので音圧への懸念がありましたが
3人だからこそ各パートの音がより明確になったことで、軽くならずに
前へ前へでてきてパワーが増しているので、近作が1番良い音を鳴らしています。
【3:ボーカル】
人気声優という嬉しいハードスケジュールの中で、アニメのアフレコやナレーション、
ライブの打ち合わせにリハーサルと常に喉を使っているうちに声帯が追いつかなくなったそうです。
心は準備万端で仮病じゃないのにやる気だけじゃ声帯が追いつかない葛藤の中で、
物凄い強い薬を使ってなんとか声が出ている状況でのライブでした。
しかし、クオリティは非常に高いと断言できます。
確かに生特有の声の艶がやや乏しく、CDに近い固めの質感ではあるけれども、
そこは≪声のプロ≫である声優、枯れていることもなく、
声帯がおかしいのに歌声へ反映されていないのは、さすがプロだと思いました。
歌い方に声帯の影響があるのかはわかりませんが、
これまでで最もクセがなく良い意味で削ぎ落とされています。
最後に、
ボーカルと楽器隊の録音状態が共にずば抜けて良いです。
反響音が大きい過去の作品とは比べられないほどタイトにできてるので、
迷っている方は是非とも手にとってほしい素晴らしい作品です。