■ はじめに
結婚した相手や就職した会社が、実は当てにならなかったということは、わりとある話。
最初から相手をすべてを分かっているわけではないので、それはありうるということになる。その時はなんとか路線変更すればよい。
しかし本作の主人公は、事態が明らかになっても、路線変更がままならないという状況になってしまう。
■ 主要登場人物
リーナ・マクレイドロウ(ジョーン・フォンテイン)
Mr.マクレイドロウ(セドリック・ハードウィック) リーナの父親
マーサ・マクレイドロウ(メイ・ウィッティ) リーナの母親
ジョニー・アイガース(ケイリー・グラント) リーナの恋人→夫
ビーキー・スエイト(ナイジェル・ブルース) ジョニーの友人
イソベル・セドイック(オリオール・リイ) 小説家
ジョージ・メルベック(レオ・G・キャロル) ジョニーの従兄、不動産関係
■ あらすじ
マジメ一方だった金持ちの娘リーナ(ジョーン)はジョニー(ケイリー)と知り合ってのぼせ上った。
他の人から見れば、ジョニーはチャラい性格で信用できなかったが、リーナは気が付かないのか、知っていて付き合っているのか、ともかくリーナは突き進んでいった。
二人は結婚したが、その後にジョニーは文無しどころから借金だらけ。それがばれてしまっても、明るい顔をして適当にリーナをごまかそうとした。
さらに親戚の会社の金を横領し、また文無しなのに、イングランド南海岸の土地の開発計画をぶち上げた。
このような事態になってからリーナはやっとジョニーに疑問を持ち始めた。
さらに開発計画の相棒がパリで死亡する事態となった。
ジョニーは推理小説家の知人から殺人の手口のことを解説した書籍を借りていたことも判明した。
父親が死亡して財産を相続したばかりのリーナは「自分が殺されるのでは?」と疑い始めた。
■ ケイリー・グラント
(1939)コンドル/Only Angels Have Wings。共演はジーン・アーサー、リタ・ヘイワース、リチャード・バーセルメス。南米の小さな航空会社のマネージャーのジェフ(ケイリー)。困難な航路がありパイロットが足りなかった。新任パイロットのバット(リチャード)が着任した。
しかしバットは、別の航空会社で事故の時に同僚を見捨てた男と判明し、さらにバットの妻(リタ)は、ジェフの昔の恋人であった。会社の中に不穏な雰囲気が漂った。バットは、そのような中で危険な仕事を着実にこなしていったが、..
(1946)汚名/Notorious。共演はイングリッド・バーグマン、クロード・レインズ。イングリッドがスパイとなる。アリシア(イングリッド)は政府のエージェントのデヴリン(ケイリー)と知り合いになり、スパイとなってリオデジャネイロへ。
ナチスの秘密組織のセバスチャン(クロード)に接触した。彼らがウラン粉末を隠していることを探知したが、正体がばれて毒殺されそうになった。
■ ジョーン・フォンテイン
(1948)忘れじの面影/Letter from an Unknown Woman。共演はルイ・ジュールダン。ウィーンに住むリザ(ジョーン)はアパートに引っ越してきたピアニストのステファン(ルイ)に夢中になった。リザはリンツに引っ越したが、18歳になってウィーンに戻りステファンに会った。その時に妊娠した。
ステファンはミラノに行ったが戻らず、その後リザは結婚した。後年リザは落ちぶれたステファンに会った。しかしステファンはリザのことをまったく憶えておらず、リザはステファンと別れた。
(1950)旅愁/September Affair。共演はジョゼフ・コットン。デイヴィッド(ジョゼフ)は旅先でマリアンヌ(ジョーン)と出会った。妻がいるがマリアンヌに惹かれた。二人は帰りの飛行機に乗り遅れたが飛行機が墜落し、二人の死亡が報道された。
二人は、そのまま一緒に暮らした。幸せであった。しかし次第に退屈が忍び寄ってきた。またデイヴィッドの妻が訪ねてきた。
(1953)二重結婚者/The Bigamist。共演はエドモンド・オブライエン、アイダ・ルピノ。ハリー・グラハム(エドモンド)はロスアンジェルスに出張した時にフィリス・マーティン(アイダ)と浮気した。
一方妻のイヴ(ジョーン)とは養子を貰う話が進んでいた。優柔不断なハリーはどちらとも決断がつかない。そのままズルズル状態。
本作は当時ジョーンの夫のコリアー・ヤングが脚本、アイダが監督&出演だが、コリアーの前の妻はアイダというややこしい関係である。
(1957)日のあたる島/Island in the Sun。共演はハリー・ベラフォンテ。カリブ海に浮かぶ(架空の)島で三組の白人と黒人の恋愛が進行する。メイヴィス(ジョーン)の相手がデイヴィッド(ハリー)。ハリーはもちろん歌っている。
(1961)地球の危機/Voyage to the Bottom of the Sea。共演はいろいろ。ジョーンは精神科医のスーザン・ヒラー博士。ヴァンアレン帯の異変により地球全体が異常な高温となる。原子力潜水艦シーヴュー号はグァム沖からヴァンアレン帯に向けて核ミサイルを発射して解決しようとグァム沖に向かう。
しかしいろいろな障害や攻撃が発生する。艦内からもハリマン・ネルソン(ウォルター・ピジョン)提督の責任能力について疑問が湧き上がる。
ジョーンはダフニ・デュ・モーリエ原作の二作に出演している。
(1940)レベッカ/Rebecca。共演はローレンス・オリヴィエ。マリアン(ジョーン)はマンダレーに広大な土地を持つマキシム(ローレンス)と出会い結婚した。マキシムは一年前に妻のレベッカを亡くしていた。
マンダレーではレベッカの付き人だったダンヴァース夫人が取り仕切っており、マリアンにはレベッカと比較する形で何かと注文を付けた。マリアンは、次第に追い詰められていく。
マリアンは、海岸で放置された小屋を見つけた。後ほど、その小屋はレベッカの死亡原因と関係があると判明した。
もう一作は(1944)情炎の海/Frenchman's Creek。ジョーンの出演作の中では一番好き。共演はアルトゥーロ・デ・コルドヴァなど。
ドナ(ジョーン)は夫と喧嘩をしてナブロンの別荘に来た。そこでジャン(アルトゥーロ)と言うフランス人の海賊に出会った。ドナはジャンたちの作戦に参加した。このままジャンと一緒に暮らすべきかを迷った。
夫も別荘に来て他の貴族たちと一緒にジャンたちを罠にかけてジャンを捕らえた。ドナは牢獄に侵入してジャンを解放した。
ついでだが、ダフニ・デュ・モーリエ原作の二作を紹介する。
(1939)巌窟の野獣/JAMAICA INN。出演はチャールズ・ロートン、モーリン・オハラなど。
メアリー(モーリン)は叔母ペイシェンスを訪ねてジャマイカ・インまできた。しかしそこは盗賊の巣窟であった。盗賊のリーダーはペイシェンスの夫である。
メアリーは捜査のために一味に忍び込んでいたジェームスが首吊りにされるところを助けた。さらに一味が狙っている船に対して煙を上げて知らせた。
(1952)謎の佳人レイチェル/My Cousin Rachel。出演は(ジョーンの姉の)オリヴィア・デ・ハヴィランド、リチャード・バートン。フィリップ(リチャード)を育ててくれた従兄のアンブローズは健康を害してフィレンツェに移った。その地でレイチェル(オリヴィア)と結婚した。
しかしアンブローズは死亡し、財産はフィリップに譲られた。その後レイチェルが訪ねてきた。フィリップはレイチェルの人格に感銘し彼女に財産を譲った。しかしレイチェルにアンブローズ殺害の疑惑などもろもろ疑いが発生した。