(少し内容に触れています)
我が国でも人口に膾炙したシリアルであるケロッグ・コーンフレーク。
本業は健康思想家~医師であった発明者ジョン・ハーヴェイ・ケロッグ博士(アンソニー・ホプキンス)のサナトリウムでは日々、健康の為には命など要らない入所者で繁盛していた。
2023年時でprime videoでも鑑賞可能な「ザ・フード アメリカの巨大食品メーカー」や劇映画「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」の様な巨大食品メーカー創業者の伝記だと思って観ると面食らう、100年程前の健康にカブレた人々の狂騒、暴走振りを黒い哄笑を込めて描いたちょっと意地の悪い作品でした。
素晴らしい美術と演技陣を揃え、映画の出来もかなり良いのですが、健康に囚われた人々に冷や水を浴びせる様な内容です。
ケロッグ博士が科学の名の下に提唱する治療法が現在では殆ど否定されているアイロニーも御座います。
禁欲を美徳とするプロテスタントの中でもかなり過激な宗派の信者だったらしく、特に性的な面の徹底した禁欲主義に驚きます。
本映画は実在人物を使用したフィクションで(ケロッグ博士の没年齢が現実とは大きく異なる)、日本ケロッグのホームページでは一切触れられていないのも無べなるかな、と思いました。
でもキャムプと言っても良い作風は一部の方には堪らない魅力が有る作品です。
ホプキンスの演技は見事ながら抑え目ですが、マシュー・ブレデリックが普通の人なら恥ずかしくなって死んじゃいそうな役を熱演しています。
個人的にはお薦めですが、食べ物を粗末にしたり医療行為とは言え下がかった描写が頻出致しますのでご家族でお食事中にご覧になるかどうかは自己判断が必要です。