立松和平の小説『遠雷』を読んだことがあり、映画化されていることを知ったため購入しました。
全体的に、映画は原作を超えているなと思いました。個人的には映画の方が好きです。
平成生まれのため、映るもの全てが新鮮でした。両親が子どもの頃の日本の地方はこんな感じだったのかと感動しました。
畑、田んぼ、団地、ロードサイド、ステーキハウス、地方選挙の光景、夜の繁華街、真夜中の学校校舎、風呂場の石のタイル、マッチで火を起こす必要のあるガスコンロなど…
地方都市にフォーカスを当てたファスト風土化問題やケータイ小説とも関連がある気がします。(三浦展『ファスト風土化する日本』など)
また原作、映画ともに金銭の問題が出てきます。キャバクラに5000円との台詞、登場人物が1万円(旧壱万円札)に飛びつく描写、兄の住宅購入頭金としてたびたび出てくる300万円の話、今の物価高では考えられないほど安くて可笑しかったです。
原作では『春雷』『性的黙示録』『地霊』と堕落の一途をように続きますが、映画では明るい、希望のある終わり方です。